医療人類学研究

大人の学び場: 「ケア」する仕事の医療人類学(オンライン勉強会)

医療人類学という学問を中心とした勉強会です。内容に興味のある方でしたらどなたでも気軽に参加いただけます。
教養のある大人になるためにもう一度学び直したい、学術的な知識に触れたい。
そういった気持ちが高まる大人が年々増えているといいます。
わたしもそのうちのひとりです。
たとえば、大学に通い直すことは色々な事情で難しいけど、今はそこまで本格的でなくても・・・でも学び直したい、といった方が、参加しやすいようなオンライン勉強会を企画します。
2023年は「ケア」をテーマに進めていく予定です。
今、「ケア」という言葉は世の中に溢れています。
健康や美容であつかわれる手ごろな「ケア」、医療や福祉であつかわれる専門的な「ケア」、あるいは環境問題など政治・経済のあいだであつかわれる国家規模の「ケア」・・・一口にケアといっても、その概念はいろいろな意味合いで使われています。
生きていくなかで、誰しもケアを必要とするとき、あるいは誰かからケアを必要とされるときがあるものです。ケアについて考えてみることは、誰にとっても役立つ学びになるのではないでしょうか。
将来的には勉強会として成長して、第一線で活躍する先生方をゲストに迎えましょう。
まずはユルユルと、皆さまと大人の学び場をつくっていければうれしく思います。

世話役 石田ミユキ・生田和代余

医療人類学とは

辞書的に定義すれば、医療人類学とは、人間の諸活動における医療を文化人類学的な立場から研究調査する学問的実践のことである[池田 2001:10]。

医療人類学は、1960年代終わりにアメリカの文化人類学者と医学研究者たちによって確立され、古典的には4つの分野-自然人類学、民族医学、文化とパーソナリティ研究、国際公衆衛生-を持ちます[Foster and Anderson 1878:4-8]。

現在ではより広い領域を包括しており、「医療に関わる現象の文化的側面を説明する」性格と、医学・看護学系の「学術的発展を促すことで、よりよい医療やケアの提供をダイレクトに目指す」、という双方の側面があります[澤野 2018:3-4]。

簡単にいうと、
「他者理解のためのたくさんの知恵や経験をもつ文化人類学から医療をめぐる物事を考えることで、よりよい医療やケアのあり方を発見する」
ということが医療人類学という学問のもつ性格といえます。

いのちの捉え方や身体の使い方には、世界共通の「当たり前」というものはありません。

どんなことを「病気」とみなすのか、ということもしかりです。

「当たり前」を見直すこと。

「自分の物差し」がどのようにして形成されているのか、ということを立ち止まって考えること。

そのとき、はじめて開かれたケアのあり方が想像できるのではないでしょうか。

医療人類学とは、そういったことを学ぶ学問です。

文化人類学は、セラピストの皆さまだと小倉ヒラク著『発酵文化人類学』角川文庫(2017)などが、親しみのある書籍かもしれません。

レヴィストロースも有名な人類学者です。『野生の思考』は伝統医療のことがよく描かれています。

勉強会詳細

本格的な医療人類学の勉強会は2023年開始を予定しています。

2023年は「ケア」をテーマに進めてみたいと考えています。

なお、2022年はプレ開催として「タイ伝統医療をめぐるケア」について理解を深めること試みてみます。

少しずつ、医療人類学についてお伝えできればと思います。

「タイ伝統医療をめぐるケア」を理解すること:

 

■2022年プレ勉強会詳細■

日本の南西にあるタイという国では、近年、伝統医療を大切にしようとする働きがあります。

タイは、7時間程度のフライトでいけるので「身近なアジア」として親しみを持つ方も多いかもしれません。

タイを訪れると、ホテル内の「スパ」、あるいは街中の「タイ・マッサージ」を体験する機会がとても多く、心身共にリラックスできるそのようなサービスは、「リラクゼーション・サービス」、「代替医療」あるいは「ホリステイック医療」という言葉で語られることがあります。

一方、タイの伝統医療はそのような「リラクゼゼーション・サービス」だけでなく、「医療制度との関わり」という別の側面もあります。

加えて、タイの伝統医療を学ぶ外国人たちが世界中に増えてきた結果、様々な文化や考えと交じり合って、「伝統」は常に作り変えられているという側面もあります。

タイ伝統医学にあるような様々な見え方は、アロマテラピーやアーユルヴェーダ、漢方、あるいは今注目されているマインドフルネスなど、伝統医療全般に通じるものだと考えます。

伝統医療を理解したり語ったりするときには、視点を変えて色々な方向からみてみることで、理解が深まります。理解が深まることで、自分の視野も広がっていくので、一見関係なさそうな目の前の自分の課題に役立つことが多いのです。

今回はタイの伝統医療の理解を深めながら、身近にあるケアについて一緒に考えていきましょう。

内容に興味のある方でしたらどなたでも気軽に参加いただけます。

色々な環境にある方と、身近にあるケアについて一緒に考えて頂けるとうれしく思います。

内容:「タイ伝統医療をめぐるケア」

日程:月1回ペースの開催

参加方法:オンライン(リアルタイム試聴/zoomを使用とアカーテイブ(録画視聴)を選べますので、時間の都合が合わない方も、録画視聴でお申込みください)パソコン又はスマートフォンがあれば簡単に接続できます。

 

■■

 

7/19(火)10:00⁻11:15

・第1回 「ケアする仕事の医療人類学:わたしの仕事」

「わたし」の職業アイデンティティが「ブレる/ブレない」をシェアする。

■■

 

※2回目以降の日程はヒアリングの上、決定いたします。

<仮のテーマ>

  • 8月 第2回

そもそも「自分らしい/自分らしくない」とはどこからくるのか?医療人類学から理解する。

disease(疾病)とillness(病い)の違い。

 

  • 9月 第3回

何が「きゅうくつ」なのか?医療人類学から理解する。

日本の医療制度化の歴史を知る

 

  • 10月 第4回

なぜ「好きな仕事で食べられない」と苦しいのか?医療人類学から理解する。

制度的医療(官僚化)と非制度的医療(商品化)のあわいにいること

 

  • 11月第5回 なぜ「正統」にぶら下がると安心するのか?医療人類学から理解する。

どのようにしてタイの伝統医療の「正統」がつくられているのか

具体の科学 × 近代科学

 

  • 12月 第6回 なぜ「ケアする環境」の居心地がよいと優しくふるまえるのか?医療人類学から理解する。

伝統医療にあるケアを考える:マヒドン大学CATTMの活動を事例として

※各回の内容は暫定的なものになります。皆さまと交流するなかで決めていければと思います。

時間:75m/回 全6回予定(1回ずつの参加OK)

参加料:プレ開催特別価格1,500円/回  

会員限定まとめ払い 4,662円(1回あたり777円)

※参加料は事前決済になります。

※オンライン(リアルタイム試聴/zoomを使用)とアカーテイブ(録画視聴)を選べます。

※1回のみでも参加いただけます。


参加方法

参加条件:

臨タイ会員であること。

※入会手続き(登録無料)はコチラです。

※内容に興味のある方でしたらどなたでも気軽に参加いただけます(一般の方はC会員でご登録ください)。

②勉強会申込先URLはコチラ

世話役紹介

只今勉強会を一緒に盛り上げてくれる世話役も募集しています!

石田ミユキ

一般社団法人臨床タイ医学研究会の代表理事。

国立東京工業大学修士課程修了。現在同大学博士後期課程在籍中。

コロナ後遺症をめぐる医療人類学的研究を行っています。(詳細は「研究活動」ページへ)

 

講師実績1:

ファシリテーターとアカデミック・ライティングのGSA(東京工業大学の認定証)の保有者として、池上彰教授をはじめ数々の著名な教授について授業アシスタントの実績を積んでいます。ほか、他大学では非常勤講師として授業を担当しています。


講師実績2:

タイ伝統医療の実践では、ITM(International Training Massage School)の上級講師として、初級から上級(レベルⅠ-Ⅳ)を日本国内で指導しています。そのほか

S-VYASA Deemd University(インド中央政府登録のヨーガの単科大学)を卒業しヨーガ療法士の資格も取得した上で、ルーシーダットン指導者の養成もおこなっています。臨タイの受け持ち講座では、90%の方に「非常に満足」を頂いています。

詳しくはコチラ

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〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋1-21-12 第一小川ビル
050-1411-6356 ※木曜日10:00 – 17:00 のみ対応
rinshothai@gmail.com ※木・土日対応

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